Tsukasa Theater

脚本家/役者・近藤司のブログ

英語について

こんにちは。英語について質問メールを何通か頂いたので書きたいと思います。NYに留学前の皆さんは誰もが英語に不安を感じているようです。
もし演技の勉強をしにNYに来るのであれば(最初は語学学校に入る、とかでなく)とりあえず英語は最大限勉強してから来たほうが良いです。また、自分のバックグラウンド、どんな芝居がやりたいのか、なぜ役者(演出、ダンサー、なんでも)になりたいのか、なぜNYに来たのか、は予め文章を用意して暗記してスラスラ言えるようになっていたほうがいいと思います。よく聞かれるので。(また、こういうことを周りの人間に伝えると連鎖的にワークショップやパフォーマンス、オーディションの話を教えてもらえたりする。例えばダンスにも興味があるのか、ストレートプレイがいいのか、コメディアンなのか、ディレクションか、などなど)

では演劇学校で英語力が問われる場面を挙げていきたいと思います。なるべく参考になるように具体的に書きたいと思います。(追加項目がある場合はコメントよろしくお願いします>NYの皆様)

  1. 自己紹介(→これができない場合はもう×)

 Call me "○○○"と入れると印象が良い気がします。通常は自分の演技のキャリアについて軽く紹介します。(日本とは違って本当にそう呼んでくれる)

  1. セリフの暗記

 これは努力次第でなんとでもできるのでハードルは低いでしょう。もちろん、セリフの意味を理解するのが早ければ早いほど覚えるのも早くなります。授業で必要となる目安としてはモノローグは300ワード〜800ワードくらい(2分〜8分、本で言うと2ページくらい)、シーンの場合はその2倍〜3倍を二人で。という感じでしょうか。これは1時間も頑張れば誰でもできます。

(参考までに:授業で使うモノローグとしてはPeter Shafferの『Equus』のscene13にあるAlanのモノローグ、シーンはArthur Millerの『A view from the bridge』のAct2の冒頭のRodolphoとCatherineのダイアローグを半分に分けたくらい、が大体標準的な気がします。時間がある人は一度試してみてはどうでしょうか。)

  1. セリフの発音

 これは独学は難しいです。HB Studioの場合はスピーチというクラスがあり、留学生は必ず履修することになっているのでそこで矯正してもらいましょう。(僕は取ったことがないので内容は知りません。)ただ、僕は日本で英語の講師もしていたのですが、その時の経験から言うと後述するテキスト(*1)を使えば、センスの良い人(僕の勝手な直感では歌の上手い人は発音習得も早い)はある程度発音を独学で身につけることができます。

日本語発音がどこまで問題になるか、ですが演技を”学ぶ”という点においては僕はそこまで問題になるとは思いません。もちろん、意味が伝わるように、かつ自然に聴こえるように努力はしなければいけませんが。というのもそもそもNYは移民の街だし、誰もが自分のバックグランドに沿ったアクセントを少なからず持っているので(ニューヨーカー含め)、生活の上でも学習の上でもアクセントを持っていることは自然なことのように思えます。現時点の自分の発音を使っていくらでも学ぶことはできます。

  1. 作品理解についての説明

 授業の中では、先生もしくはクラスメイトとキャラクターの心情やシーンの意味について話し合うことがあります。僕のブログの「演技」のエントリをいくつか見てもらうと、先生と僕の会話が引用形式で書いてあります。だいたいこんな具合で自分が思ったこと、質問などを言える必要があります。
しかし、アメリカ人の生徒と先生の対話を見ていても、また自分で説明していても、ここはとても「言葉」が問題になるところです。僕がこのキャラクタはselfishだと言うと先生がselfishと言うよりはpersistentだと言ってくる、というようにしっくりくる単語がなかなか見つからなかったりします。
例えばsad一つとっても色んな種類があってその説明をしなければなりません。僕の感覚としてはここが一番英語力のハードルが高いポイントだと思います。

  1. 先生の指示を聞き取る

 これもハードルはかなり高いです。そしてこれができないと授業の意味がありません。分からない場合は遠慮せずに手を挙げてもう一度説明してもらう、ゆっくり話してもらうなどしましょう。参考までに、典型的なアクティングワークショップの動画をYoutubeで見つけたので貼っておきます。この先生(僕は知らない人ですが)の英語はかなり分かりやすいレベルですが、これが聞き取れたら自信を持って良いと思います。しかし、大事なのはそれ以上に質問をする、中断させる、がめつさです。

  1. 質問をする

 これはむしろ意志の問題です。"I'm not good at English so please let me take some time."と言うと必ず待ってくれます。まとめでも書きますが、多くの場合英語力よりもがめつさ、押しの強さのほうが大事だと思います。

  1. インプロ

 インプロは即興のことです。これはハードルはそれほど高くないです。インプロではアメリカ人の役にならされることはおそらくないでしょうから、自分の英語力を偽らずに、自然に演技をすれば良いだけです。

  1. 人と仲良くなる

 これは誰か僕にも教えてください。あと人を見る目も。

  1. ピザをオーダーする

 食事に迷ったらピザでしょう。"a slice to go."というといつでもどこでも同じ物が出て来ます。不思議ですね。

@まとめ@
 とにかく大事なのは「分からないことは質問する。間違いを恥ずかしがらずに発言する」図太さだと思います。クラスには僕よりも英語ができない外国人はたくさんいますが彼らはガツガツしてます。作戦は間違いなく「ガンガンいこうぜ」です。ためらいは0です。そしてもちろん彼らはすぐに英語が上手くなるのでしょう(演技も)。
「渡米したら英語が上手くなる」というのが本当かどうかは、正直怪しいものがあります。一気に上手くなる人もいれば何年も住んでもさっぱりな人もいるのも確かです。なので僕は「スタートすることが一番大事」だと思います。英語の勉強は最大限していて、図太く生きる意志を持っているのであれば必ず上手く行くはずです。演技が自然な自分を引き出すものである以上は、どんな英語力であれ演技はできるのですから。

最後に、参考文献として英語の教科書ですが『ADVICE to the PLAYERS』Robert Lewisという本は内容が口語体になっていて、授業で先生が話す言葉がそのまま文章になっています。こちらの演劇のクラスの雰囲気を知るのにとても参考になると思います。

Advice to the Players

Advice to the Players

(*1)発音のテキスト

英語の発音がよくなる本

英語の発音がよくなる本